本のこと

【本屋大賞2019受賞】瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』あらすじ&感想

こんにちは。
アラフォー専業主婦のCoccaです。

いよいよ2019年の「本屋大賞」の発表日がせまってきました。

「本屋大賞」は、書店員さんたちが「いちばん売りたい本」を選ぶという趣旨のもと、本当におもしろかったと思う作品に投票して選ばれるので、受賞作にハズレがないと言われていますよね。

過去の受賞者もそうそうたる顔ぶれです

 

16回目を迎える今年も、すでに10作品の小説がノミネート。

今回はその中から、瀬尾まいこさんの『そして、バトンは渡された』のあらすじ&感想をまとめてみたいと思います。

※追記:『そして、バトンは渡された』が2019年本屋大賞を受賞されました!

読書のおとものおいしいスイーツも紹介させていただきます

『そして、バトンは渡された』あらすじ

※以下、ネタバレがありますのでご注意ください。

今回、私が読んだのはこちらの作品です。

 

瀬尾まいこさん『そして、バトンは渡された』

 

私には五人の父と母がいる。
その全員を大好きだ。

森宮優子、十七歳。
継父継母が変われば名字も変わる。
だけどいつでも両親を愛し、愛されていた。

『文藝春秋BOOKS』HPより引用

この概要を読んだだけでも面白そうな作品ですよね。

主人公の森宮優子(17)には二人のお母さんと三人のお父さんがいます。
この部分だけ読むと、とても複雑な家庭環境に思えますよね。

でも、優子はこの家族たちを心から大切に思っていて、同時にこの五人の親たちからもこれ以上ないほど愛されています。

つまり、悲壮感がただよう作品ではなく、むしろ心があたたかくなる小説なのです。

『そして、バトンは渡された』は、主人公の現在の生活(高校生活)を軸に、時折過去を振り返りながら物語が進行していくのですが、せっかくなのでこのブログでは、優子の親たちを「親になった順番」に並べながら紹介していきたいと思います。

主人公の優子がどのようにして五人の親を渡り歩いたかというと・・・

①実母

優子は三歳の頃に母親を亡くしています。
なので実母の記憶はほとんどありません。

父親はまだ幼い優子に、母親が亡くなったことは話していませんでした。
「遠くにいる」とだけ伝えていたのです。

小学校の入学式の日。
優子は、ほかの友達にはみんな「お母さん」がいるのに、自分にだけお母さんがいないことに気づきます。もちろん、いままでも自分にお母さんがいないことはわかっていました。
でもそれは、なんとなくあやふやなもの。実感はしていなかったのです。

優子は入学式の帰り道、父親に「どうしてうちのお母さんは入学式に来ないの?」と質問します。

お父さんは、「大きくなったら教えてあげる」と答えをにごし、そのかわりケーキを買って帰ろうと提案しました。

優子はめったに買ってもらえない大きなケーキを買ってもらえることが嬉しくて、次第に寂しい気持ちも消えていきます。

幸か不幸か、優子にとって実母の記憶は、悲しみに執着することもないぐらいすでに薄れてしまっていたのです。

②実父:水戸秀平

優子が小学校二年生になると、実父である水戸秀平がお母さんの話をしてくれました。

じつは優子の母親は交通事故で亡くなっていたのです。

いつかは会えると信じていたお母さんに、もう二度と会えないと思うと優子は涙が止まりませんでした。

でも優子には大好きでかっこいいお父さんと、お世話をしてくれるおじいちゃん、おばあちゃんがいます。

優子は幼いながらに、「大切な人は生きてさえいてくれればそれでいい」と思うようになりました。

そして小学校二年生の夏休み、父の秀平が、突然お友達だというおねえさんを優子のもとに連れてきます。

それが田中梨花との出会いでした。

③実父の再婚相手:田中梨花

田中梨花は父親よりも八歳年下の二十七歳。

明るくて華やかな雰囲気の梨花に優子は緊張します。

でも、人に対して壁を一切作らない梨花は、初対面の優子にもフレンドリーで、優子の髪の毛をかわいくアレンジしてくれました。
祖父母と暮らしている優子にとって、そんなことをしてもらったのは初めての経験で心が弾みます。

若くて美しい梨花のすべてがキラキラと輝いてみえました。

優子はすぐに梨花を好きになり、梨花もまた、優子のことをじつの娘のようにかわいがってくれました。

やがて、父親が梨花と再婚し、梨花は晴れて優子の新しいお母さんとなります。

再婚後も梨花の態度は変わることなく、優子のことを尊重して大切にしてくれていたのですが、
ある出来事をきっかけに状況が一変することに・・・

父親である秀平にブラジルへの転勤が言い渡されたのです。

ブラジルについていきたくない梨花は、早々に秀平と離婚することを決めました。

問題は娘の優子です。
転勤の期間は3年から5年。治安に不安があり、言葉もできず、いまの友達とも離れたくない優子もまた、ブラジルに行くことを迷っていました。

継母である梨花も、優子が自分のもとに残ることを心から望んでいます。

最終的に、優子は日本で父親が帰ってくるのを待つという選択をしました。

こうして優子と梨花のふたりきりの生活が始まります。

しかしその後、父親の秀平が優子を迎えに来ることはありませんでした――

④田中梨花の再婚相手:泉ヶ原茂雄

田中梨花との生活は、優子にとって経済的に苦しいものでした。

梨花は浪費家なところがあり、給料日前にお金をつかい切ってしまうことも少なくありません。

そのたびに優子は、大家さんの畑で野菜をわけてもらったり、パン屋でパンの耳をもらったりして、家計を支えていました。

そんな状況でも梨花は相変わらず明るくて能天気。
優子もやれやれと思いながらも、この生活に苦痛を感じてはいませんでした。

小学六年生になった優子は、「ピアノを習いたいな」と梨花に話します。
学校の友達がみんな習っていて、自分も憧れていたからです。

梨花は、「いまのせまいアパートではピアノも置けないし…」と考え込んでいました。

でもすぐに「なんとかするね」と明るく言い、その言葉どおり、優子が中学生になるタイミングで、「ピアノがひける家に引っ越すよ」と突然行動を起こします。

その引越し先というのが、泉ヶ原茂雄が住んでいる豪邸でした。

梨花は優子に相談することなく、十七歳も年上の不動産会社を経営する泉ヶ原と再婚してしまったのです。

前妻を亡くしている泉ヶ原は、妻が大切にしていたというピアノを優子にゆずってくれました。
優子がピアノを練習するととても嬉しそうにします。
妻が亡くなったあとも、泉ヶ原はピアノの調律を自ら行ない、大事に管理していたのです。

泉ヶ原は面白味に欠ける男性ではありましたが、経済力と包容力があり、いわゆるいい人。

自宅にはお手伝いさんもいて、優子や梨花にとって、いたれりつくせりの暮らしが待っていました。

優子はピアノの先生もつけてもらい、これまでの生活が一気に変化します。

ただ、梨花は毎日とても退屈そうでした。
仕事もやめ、家事もさせてもらえず、夫も多忙で不在がち。

やがてそんな生活に耐えられなくなった梨花は、泉ヶ原の家を出て行ってしまうことに――

⑤田中梨花の再婚相手:森宮壮介

泉ヶ原の自宅を出て行ってからも、梨花は毎日のように優子に会いに来ました。

相変わらず明るくおしゃべりをしては、「一緒に出ていこう」と優子を誘います。

優子は泉ヶ原に対して罪悪感のようなものを持っていました。
こんなによくしてくれた泉ヶ原をひとりにしてしまうのは申し訳ないという気持ちがあったのです。家を出ていくことにもためらいがありました。

そんな生活が一年以上続きます。
泉ヶ原と正式に離婚したあとも、梨花は頻繁に優子に会いに来ていたので母親と離れているという感覚はまったくありませんでした。

ですがある日、梨花はべつの男性との再婚を決めて、優子のことを引き取りにきます。

梨花の提案を受け入れて、思っていたよりもあっさりと優子を手放した泉ヶ原。
自分の知らないところで大人たちが勝手に物事を決めてしまうことに対して、優子はなんともいえない気持ちに――

そして現在、十七歳の優子が一緒に暮らしているのが、三人目の父親である森宮壮介です。

梨花が再婚相手として選んだのは東大卒で超一流企業につとめる男性。
梨花とは中学校の同級生で同窓会で再会したとのこと。

ひょうひょうとしていて、ズレているところもあるけれど、森宮は優子のことを本当の娘のように大切にしています。

じつは、梨花はたった二ヵ月で森宮の家から出ていってしまいました。
すでにべつの男性と結婚して、優子にもまったく会いに来ません。

梨花がそんな行動を取ったのは初めてのことだったので、最初は寂しい気持ちもあった優子でしたが、ようやく梨花に本気で好きな男性ができたんだと思うと、どこかホッとしたのも事実。

いまは三人目の父親である森宮と暮らしながら、高校生ライフを満喫しています。

 

優子の五人の親たちの紹介は以上になります。

実際の小説は、優子の高校生活がわりとしっかり描かれているので、そういった面も楽しく読むことができる作品です。

また、『そして、バトンは渡された』は第1章と第2章から構成されているのですが…

第2章では、大人になった優子が結婚報告をするために、疎遠になっていたそれぞれの親を訪ねていく様子が描かれています。

そこでは、この作品の中に出てくるいくつかの「なぜ?」の真相が明らかになります。

  • なぜ実父は優子のもとに帰ってこなかったのか。
  • なぜ泉ヶ原茂雄はたやすく優子を手放したのか。
  • なぜ田中梨花は優子に会いに来なくなったのか。


このあたりは、涙なしには読めない展開となっています。

『そして、バトンは渡された』感想

『そして、バトンは渡された』は評判通りとても素敵な作品でした。

おそらく三回ぐらい泣いたと思います(笑)

優子の親たちがとにかくみんな優しいのです。

もちろん、それぞれに考えがあり、主張があり、葛藤もあるのですが、それもすべて優子を思ってのあたたかさ。

この小説に限らず、ひとむかし前の作品(ドラマを含む)には、「心底イヤな奴」「根っこがくさってる系の人物」が物語を盛り上げるために欠かせない存在として登場していましたが、最近はあまりそういうキャラクターはウケないのか、めっきり減った印象です。

この作品にもその手の人物は出てきません。
(※高校に少しだけ意地悪なクラスメイトが登場しますがご愛嬌程度です)

そういった意味でも、『そして、バトンは渡された』はとてもいまっぽい小説だなと思いました。

「こんなことあるわけないじゃん」と思われてもおかしくない展開なのに、「こんなことがあったら素敵だな」という心地いい余韻で終われるのは、瀬尾まいこさんの筆力だと思います。

読んでよかったと思える、とても素晴らしい作品でした。

読書のおともは「パリセヴェイユ」のポワールキャラメル

そして、今回の読書のおともはこちらです。

自由が丘にある大好きなお店『パティスリー パリセヴェイユ』ポワールキャラメル

 

光り輝くドームのようなかたちのこのケーキ。

見た目はつるっとしていてかなりシンプルです。

表面は1センチほどの洋ナシのジュレになっていて、中は角切りの洋ナシがたっぷり入った洋ナシムース、ほろ苦いキャラメルムース、そしてスポンジで構成されています。

半分にカットして断面も撮影すればよかった・・・

ジュレは瑞々しく、洋ナシムースは濃厚、キャラメルはビターで、スポンジは甘い。
口の中でこのすべてが絶妙に混ざりあうのが最高です。

とにかくおいしいの一言。

■ポワールキャラメル:600円

ケーキ好きの方にはぜひおすすめしたい逸品です♪

まとめ

素敵な作品に、おいしいケーキ、私の中では最強の組み合わせです。

これを機に瀬尾まいこさんの作品をもっと読んでみたいと思いました。

 

おすすめの作品があればぜひ教えてください